東京大学
国際保健学専攻
生物医化学教室


1.ヒトミトコンドリア

 近年、ミトコンドリアの機能異常に起因するいわゆるミトコンドリア脳筋症の発症機構の解析が進み、ミトコンドリアDNA の欠失や点突然変異について明らかになってきた。一方、核DNAの変異に起因する報告は少なく研究が遅れている。我々は遺伝子が核DNA にコードされ、TCA回路と呼吸鎖電子伝達系を直接結び付けているコハク酸脱水素酵素複合体(SQR)について研究を進めている。この中でヒトSQR の4つのサブユニット全てのcDNA のクローニングを行い、触媒サブユニットに変異を持つ症例の研究を進めている。また、この触媒サブユニットにアイソフォームを見出したが、これはイントロンのない遺伝子にコードされており、その生理的意義について解析中である